AIエンジニア用語集
AIエンジニアに求められる用語を、意味・仕組み・実務でのポイントとあわせてわかりやすく解説します。関連する職種・年収への導線つきで、学習と転職準備の両方に使えます。
生成AI・LLM16語
RAG(検索拡張生成)
ラグ / Retrieval-Augmented Generation
RAG(Retrieval-Augmented Generation=検索拡張生成)とは、LLMが回答を生成する前に外部の知識ソース(社内文書やデータベースなど)を検索し、その内容を根拠としてプロンプトに含めて回答させる仕組みです。モデルが学習していない最新情報や社内固有の情報を、再学習せずに回答へ反映でき、ハルシネーション(もっともらしい誤り)の抑制にもつながります。
AIエージェント
AI Agent
AIエージェントとは、LLMを「頭脳」として、目標達成のために自分で考え・ツールを使い・複数ステップの処理を自律的に進めるシステムです。単に1回の入力に1回答えるチャットボットと違い、状況を観察して次の行動を決め(推論)、外部ツールや他のAIを呼び出しながらタスクを完了まで進める点が特徴です。
プロンプトエンジニアリング
Prompt Engineering
プロンプトエンジニアリングとは、LLMから狙いどおりの安定した出力を引き出すために、指示文(プロンプト)を設計・改善する技術です。役割の指定、手順や出力形式の明示、例示(Few-shot)、思考手順を促す指示などを組み合わせ、曖昧さを減らして再現性の高い応答を得ることを目的とします。
LangChain
ラングチェーン
LangChainとは、LLMを使ったアプリケーション開発を効率化するオーケストレーションフレームワークです。LLMの呼び出し、プロンプトの管理、外部ツールやベクトルDBとの連携、会話履歴(メモリ)の保持、複数ステップの処理(チェーン)やエージェントの構築などを、共通の部品として組み合わせられます。
Function Calling(ツール呼び出し)
ファンクションコーリング
Function Calling(ツール呼び出し)とは、LLMが「どの関数(ツール)を、どんな引数で呼ぶべきか」を構造化された形式(JSONなど)で出力し、外部の機能を実行させる仕組みです。天気APIの呼び出し、データベース検索、計算など、LLM単体ではできない処理をツールに任せることで、AIエージェントが現実の操作を行えるようになります。
ベクトルDB(ベクトルデータベース)
Vector Database
ベクトルDBとは、テキストや画像をEmbeddingで数値ベクトルに変換したデータを格納し、「意味の近さ(類似度)」で高速に検索できるデータベースです。キーワードの一致ではなく意味の近さで探せるため、RAG(検索拡張生成)で関連文書を見つける中核部品として使われます。Pinecone・Chroma・pgvector・Weaviateなどが代表例です。
マルチエージェント
Multi-Agent System
マルチエージェントとは、役割の異なる複数のAIエージェントが協調して1つの目標を達成する仕組みです。1体のエージェントにすべてを任せる代わりに、たとえば「計画担当」「調査担当」「実装担当」「レビュー担当」のように分業させ、互いの出力を渡し合って複雑なタスクを解きます。2026年に向けて生成AI活用の中心テーマの一つになっています。
LLM評価(Eval)
LLM Evaluation
LLM評価(Eval)とは、LLMやAIエージェントの出力の品質を、決められた基準で定量的に測ることです。出力が毎回変わりうる(非決定的な)生成AIでは、「良くなったか・悪くなったか」を感覚ではなくデータで判断する必要があります。正確さ・一貫性・安全性などを、テストデータや採点ルールで継続的に測定します。
ファインチューニング
ふぁいんちゅーにんぐ / Fine-tuning
ファインチューニングとは、事前学習済みのモデル(LLMなど)に対して、特定のタスクやドメインのデータで追加学習を行い、モデルの知識や振る舞いを目的に合わせて調整する手法です。ゼロからの学習に比べて少ないデータ・計算資源で、独自の文体・分類・専門用語への対応など、狙った性能を引き出せます。
ハルシネーション(幻覚)
はるしねーしょん / Hallucination
ハルシネーションとは、LLM(大規模言語モデル)が事実と異なる内容を、もっともらしい文章で自信ありげに生成してしまう現象です。存在しない論文・数値・仕様などを『それらしく』作り出すため、業務利用では誤情報の混入リスクとして特に注意が必要です。
トークン
とーくん / Token
トークンとは、LLMがテキストを処理する際の最小単位で、単語・部分語・記号などに分割された『かたまり』です。モデルはテキストをそのままではなくトークン列として扱い、料金やコンテキスト長(一度に扱える量)もトークン数で数えます。
RLHF(人間のフィードバックによる強化学習)
あーるえるえいちえふ / Reinforcement Learning from Human Feedback
RLHFとは、人間の好み・評価を報酬として使い、強化学習でLLMの出力をより有用・安全・自然な方向に調整する手法です。ChatGPTなどの対話モデルが『人間にとって好ましい応答』を返せるのは、この工程が大きく寄与しています。
トークナイザ
とーくないざ / Tokenizer
トークナイザとは、テキストをLLMが扱える最小単位(トークン)に分割するプログラムです。どのように分割するかでトークン数・コスト・多言語対応が変わるため、LLMの入出力設計における重要な要素です。
拡散モデル(Diffusion Model)
かくさんもでる / Diffusion Model
拡散モデルとは、画像などのデータに徐々にノイズを加える過程を逆にたどり、ノイズから高品質なデータを生成する生成AIの手法です。Stable DiffusionやDALL·E等の画像生成AIの中核技術で、近年は動画・音声・3D生成にも広がっています。
GAN(敵対的生成ネットワーク)
がん / Generative Adversarial Network
GAN(敵対的生成ネットワーク)とは、『生成器』と『識別器』の2つのネットワークを競わせて学習させることで、本物そっくりのデータ(画像など)を生成する手法です。顔画像の生成や画像の高解像度化などで大きな成果を上げました。
ゼロショット・フューショット学習
ぜろしょっと・ふゅーしょっと / Zero-shot & Few-shot Learning
ゼロショット学習とは、例を1つも与えずに指示だけでタスクをこなさせること、フューショット学習とは、数個の例をプロンプトに含めて期待する出力を引き出すことです。LLMの活用では、追加学習せずにプロンプトの与え方で性能を引き上げる基本テクニックです。
インフラ・運用3語
LLMOps
エルエルエムオプス
LLMOpsとは、LLMを使ったアプリケーションを安定して運用するための手法・基盤の総称です。従来のMLOps(機械学習モデルの運用)に対し、LLM特有の課題——プロンプト管理、出力品質の評価(Eval)、処理の追跡(トレーシング)、API利用コストの監視、安全性のガードレールなど——に対応します。作って終わりではなく、運用しながら品質とコストを管理し続けるのが目的です。
MLOps
エムエルオプス
MLOpsとは、機械学習モデルを本番で安定して運用するための手法・基盤の総称です。モデルの学習・デプロイ・監視・再学習といった一連の流れを自動化・仕組み化し、精度を保ち続けることを目的とします。DevOpsの機械学習版にあたり、データドリフト対策やモデルのバージョン管理も含みます。
説明可能AI(XAI)
せつめいかのうえーあい / Explainable AI
説明可能AI(XAI)とは、AIモデルが『なぜその予測・判断を下したのか』を人間が理解できる形で示す技術・考え方です。ブラックボックス化しやすい機械学習モデルの判断根拠を可視化し、信頼性・公平性・説明責任を担保するために重要になります。
資格1語
従来型ML・データ15語
Embedding(埋め込み)
エンベディング
Embedding(埋め込み)とは、テキスト・画像などのデータを、意味的な近さを保った数値ベクトルに変換したものです。意味の近い言葉ほどベクトル空間上で近くに配置されるため、「意味での検索」や類似度計算が可能になります。RAGやベクトルDBの土台となる技術で、生成AIアプリの検索・分類・推薦などに広く使われます。
特徴量エンジニアリング
Feature Engineering
特徴量エンジニアリングとは、生のデータを、機械学習モデルが予測に使いやすい「特徴量」に加工・設計する作業です。欠損値の処理、カテゴリ変数の数値化、スケーリング、複数項目の組み合わせなどを行います。モデルの精度は特徴量の質に大きく左右されるため、従来型MLでは最も重要な工程の一つとされます。
データドリフト
Data Drift
データドリフトとは、機械学習モデルを運用していく中で、入力されるデータの傾向が学習時から変化し、モデルの精度が徐々に低下する現象です。市場・季節・ユーザー行動の変化などで起こります。放置すると予測がずれていくため、運用ではログを監視し、必要に応じて再学習する仕組みが欠かせません。
データセントリックAI
Data-centric AI
データセントリックAIとは、AIの精度を上げるために、モデルやアルゴリズムをいじるより『データの品質を高めること』に注力する考え方です。ラベルの誤りを正す、データの一貫性を保つ、偏りをなくすといった地道な改善で精度を伸ばします。2026年時点で、実務の主流的なアプローチの一つになっています。
過学習(オーバーフィッティング)
かがくしゅう / Overfitting
過学習とは、機械学習モデルが訓練データに過剰に適合し、未知のデータ(本番データ)に対する性能が下がってしまう状態です。訓練データの正解率は高いのにテストデータで精度が出ない場合、過学習が疑われます。
転移学習
てんいがくしゅう / Transfer Learning
転移学習とは、あるタスクで学習済みのモデルの知識を、別の関連タスクに再利用する手法です。大規模データで事前学習されたモデルを土台にすることで、少ないデータ・短い学習時間で高い精度を得られます。
教師あり学習
きょうしありがくしゅう / Supervised Learning
教師あり学習とは、入力データと正解ラベルのペアをモデルに与えて学習させ、未知のデータに対する予測・分類ができるようにする機械学習の手法です。迷惑メール判定・需要予測・画像分類など、正解が用意できる多くの実務タスクで使われます。
教師なし学習
きょうしなしがくしゅう / Unsupervised Learning
教師なし学習とは、正解ラベルのないデータから、データ自身の構造やパターンを見つけ出す機械学習の手法です。顧客のグループ分け(クラスタリング)や、高次元データの可視化・圧縮(次元削減)、異常検知などに使われます。
アンサンブル学習
あんさんぶるがくしゅう / Ensemble Learning
アンサンブル学習とは、複数のモデル(弱学習器)を組み合わせて、単独のモデルより高い精度・安定性を得る手法です。ランダムフォレストや勾配ブースティング(XGBoost・LightGBM等)が代表例で、表形式データの予測で特に強力です。
正則化
せいそくか / Regularization
正則化とは、機械学習モデルが訓練データに過剰に適合する『過学習』を抑え、未知のデータへの汎化性能を高めるための手法の総称です。モデルの複雑さにペナルティを課したり、学習中に一部を無効化したりして、単純で頑健なモデルに導きます。
評価指標(適合率・再現率・F1スコア)
ひょうかしひょう / Precision, Recall, F1
評価指標とは、機械学習モデルの性能を測るためのものさしです。特に分類では、正解率(Accuracy)だけでなく、適合率(Precision)・再現率(Recall)・F1スコアを使い分けることで、偏ったデータでも実用的な性能を正しく評価できます。
ハイパーパラメータ
はいぱーぱらめーた / Hyperparameter
ハイパーパラメータとは、機械学習モデルの学習を始める前に、人間が設定する設定値のことです。学習率・バッチサイズ・木の深さ・正則化の強さなどが該当し、学習で自動的に決まる「パラメータ(重み)」とは区別されます。適切な値の選定がモデルの性能を大きく左右します。
データ拡張(データオーグメンテーション)
でーたかくちょう / Data Augmentation
データ拡張とは、学習データに変換を加えて水増しし、データの多様性を増やす手法です。画像なら回転・反転・拡大縮小・色調変更など、元データから疑似的に新しいデータを作ることで、過学習を抑え汎化性能を高めます。
ROC曲線・AUC
あーるおーしー・えーゆーしー / ROC Curve, AUC
ROC曲線は、分類モデルの判定しきい値を変えたときの「真陽性率」と「偽陽性率」の関係を描いた曲線です。AUC(曲線下の面積)はその性能を0〜1で数値化した指標で、1に近いほど良い分類性能を表します。しきい値に依存しない評価ができます。
標準化・正規化(特徴量のスケーリング)
ひょうじゅんか・せいきか / Standardization, Normalization
標準化・正規化とは、特徴量ごとに大きさ(スケール)の異なる値を、揃った範囲に変換する前処理です。標準化は平均0・標準偏差1に、正規化(Min-Max)は0〜1の範囲に変換します。スケールの違いによる学習の偏りを防ぎ、多くのアルゴリズムの性能を安定させます。
土台10語
AIエンジニアと数学
Mathematics for AI
AIエンジニアに必要な数学とは、主に線形代数・確率統計・微分積分・最適化理論の4分野です。モデルがなぜ動くのかを理解し、適切に選定・調整するための土台になります。ただし生成AI側の実務では『アルゴリズムを高度に自作する』より『APIを使ってデータを処理する』比重が高く、必要な数学の深さは役割で変わります。
Transformer(トランスフォーマー)
とらんすふぉーまー / Transformer
Transformerとは、2017年の論文『Attention Is All You Need』で提案された深層学習モデルの構造で、現在の生成AI(GPT・BERT等)の基盤となっているアーキテクチャです。『アテンション(注意機構)』により文中の単語同士の関係を並列に捉えられ、長い文脈の処理と大規模化に適しています。
アテンション(注意機構)
あてんしょん / Attention
アテンション(注意機構)とは、入力の中で「どの部分に注目すべきか」を数値化して重み付けする仕組みです。Transformerの中核技術で、文中の離れた単語同士の関係も並列に捉えられるため、長い文脈の理解や大規模言語モデル(LLM)の性能を支えています。
ニューラルネットワーク
にゅーらるねっとわーく / Neural Network
ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模した機械学習のモデルです。入力層・中間層(隠れ層)・出力層のノードが重みでつながり、データからパターンを学習します。層を深く重ねたものがディープラーニング(深層学習)です。
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
しーえぬえぬ / Convolutional Neural Network
CNN(畳み込みニューラルネットワーク)とは、画像認識を中心に高い性能を発揮する深層学習モデルです。『畳み込み』という仕組みで画像の局所的な特徴(エッジ・模様など)を捉え、層を重ねるほど複雑な特徴を認識できるようになります。
RNN(再帰型ニューラルネットワーク)
あーるえぬえぬ / Recurrent Neural Network
RNN(再帰型ニューラルネットワーク)とは、系列データ(文章・音声・時系列など)を扱うために、前の時刻の出力を次の入力に渡して「記憶」を持たせた深層学習モデルです。文脈を順番に処理できるため、かつては自然言語処理や音声認識の主力でした。
活性化関数
かっせいかかんすう / Activation Function
活性化関数とは、ニューラルネットワークの各ノードで、入力の重み付き合計を非線形に変換して次の層へ渡す関数です。これがあることで、ネットワークは複雑な(非線形な)パターンを学習できるようになります。ReLUが最もよく使われます。
勾配降下法
こうばいこうかほう / Gradient Descent
勾配降下法とは、モデルの予測誤差(損失)が最も小さくなるように、誤差の傾き(勾配)を手がかりにパラメータを少しずつ更新していく最適化アルゴリズムです。ニューラルネットワークをはじめ、多くの機械学習モデルの学習の中心となる仕組みです。
損失関数
そんしつかんすう / Loss Function
損失関数とは、モデルの予測と正解との「ずれ(誤差)」を数値で表す関数です。学習では、この損失が小さくなるようにパラメータを調整します。タスクに応じて適切な損失関数を選ぶことが、モデルを正しく学習させる前提になります。
バッチサイズ・エポック
ばっちさいず・えぽっく / Batch Size, Epoch
エポックとは、学習データ全体を1回学習に使い切る単位です。バッチサイズとは、一度にまとめて処理するデータの件数です。ニューラルネットの学習では、データをバッチに分けて複数エポック繰り返すことで、少しずつパラメータを最適化します。
2026以降の伸び筋5語
コンテキストエンジニアリング
Context Engineering
コンテキストエンジニアリングとは、LLMやAIエージェントに渡す「文脈(コンテキスト)」全体——指示・会話履歴・検索結果・ツール定義・出力形式など——を設計・最適化する技術です。単発のプロンプトを練るプロンプトエンジニアリングから一歩進み、エージェントが良い判断をするために「何を・どの順で・どれだけ」渡すかを設計します。2026年に重要度が上がっている領域です。
プロンプトインジェクション対策
Prompt Injection
プロンプトインジェクションとは、悪意ある入力(ユーザー入力や外部データ)でLLMの指示を上書きし、開発者の意図しない動作(機密の漏えい・不正なツール実行など)をさせる攻撃です。その対策は、AIセキュリティの中核テーマの一つ。エージェントが決済や実行まで担う流れの中で、安全設計の需要が急増しています。
マルチモーダル
Multimodal
マルチモーダルとは、テキストだけでなく画像・音声・動画など複数種類(モーダル)のデータを、AIが横断的に扱えることを指します。画像を見て説明する、音声を聞いて回答する、図表を読み取るといった処理が可能になり、生成AIの応用範囲が大きく広がります。2026年以降さらに実装ニーズが伸びる領域です。
AIセキュリティ・ガバナンス
AI Security & Governance
AIセキュリティ・ガバナンスとは、AIシステムを安全かつ責任を持って運用するための、技術的・組織的な取り組みの総称です。プロンプトインジェクション対策、機密データの保護、出力のガードレール、コンプライアンス(法令・社内規程の順守)などを含みます。エージェントが決済や実行まで担う流れの中で、需要が急増しています。
モデルの軽量化(蒸留・量子化・プルーニング)
もでるのけいりょうか / Model Compression
モデルの軽量化とは、大規模なAIモデルの精度をできるだけ保ちつつ、サイズ・計算量・メモリを削減する技術の総称です。代表的な手法に、大モデルの知識を小モデルに移す『蒸留』、数値精度を落とす『量子化』、不要な重みを削る『プルーニング』があります。
各用語で扱うスキルを活かせる職種・年収はAIエンジニアの職種・年収、学ぶ順序・資格は資格・ロードマップでご覧いただけます。用語は順次追加していきます。